有機農園ビオ・ファーム

オーガニック日本茶ブランド「KEIKO」に使用されている原料のほとんどは、鹿児島県の有機農園「ビオ・ファーム」で栽培されています。「ビオ(BIO)」とは、ドイツ語で「オーガニック」を表す言葉。オーガニック先進国ドイツで認められた品質の畑であることを表しており、現在は日本と米国のオーガニック認証も取得しています。

オーガニックってなに?

有機栽培(オーガニック)とは、化学的に合成された農薬や肥料を一切使わない農法のこと。植物そのものだけでなく、周囲の自然環境への負荷を軽減し、生態系の保全を重視したサスティナブル(持続可能)な農業です。農薬・除草剤を使わないため、時に害虫の被害に遭い、また、炎天下での草むしりなど人の手がかかりますが、自然の恵みをたっぷり吸って育った農産物は安心して口にできます。また、作り手にとっても薬による健康被害の心配がないため、安心安全な農法なのです。

なぜオーガニック?

オーガニックで育てた農産物は、植物内に残留した農薬を摂取する心配がなく、カラダにとっても安心安全。また、オーガニック農産物を選ぶことは、自然環境を守ることにもつながります。
農薬や化学肥料は、その種類によっては環境への影響が大きく、動植物の生態系を破壊するとして海外では使用が禁止されているものもあります。オーガニックは人にも地球にも優しい、世界的に注目されている農業なのです。

鹿児島県南九州市の美しい山あいにあるビオ・ファーム

ビオ・ファームの所在地は、鹿児島県南九州市川辺町神殿(こどの)。鹿児島市内から車で南に1時間、桜島を背に峠を越えると、そこは自然豊かな山々に囲まれた美しい場所。長く曲がりくねった山道を先へ先へと進むと突然180度視界が開け、一面に茶畑の風景が飛び込んできます。下堂園の自社有機農園ビオ・ファームは、その一角にあります。
全国名水100選にも選ばれた清水を地下にたたえ、周囲を山々に囲まれたこの土地は1日の寒暖の差が大きく、茶の栽培に適した環境が整っています。ここで1998年にビオ・ファームをスタートして以来、全園で一貫して有機栽培を行っており、今では茶を中心に、さつまいも、しょうが、ハーブ、ブルーベリーなどさまざまな農産物を栽培するようになりました。ここで採れた茶のほとんどは、ドイツの分析機関での厳しい検査を経て、ヨーロッパへと輸出されています。

下堂園が自社ですべてを管理する有機栽培農園

ビオ・ファーム構想が生まれたのは1995(平成7)年、下堂園が念願のドイツオーガニック認証を取得し、海外進出が熱を帯び始めたころ。社長の下堂薗豊は、農家と共に取り組んだ試みによって培った有機栽培のノウハウをもとに自社が全てを管理する有機栽培農園を持つべきではないか、という考えを持っていました。契約農家の畑でも安定した収穫量を確保できるようになっていました。しかし、有機栽培の案件はすでに増加傾向にあり、海外取引がさらに活性化すれば、生産量が不足することが目に見えていました。
当時、お茶を扱う“茶商”が農園を持つことは、なかばタブー視されていました。同業の茶商たちからも、「茶商が農園を、しかも難しい有機栽培の農園を管理するというのはできるわけがない」と言われ、豊は悩み続けました。問屋業から生産業への転換は、生半可な覚悟では実現できないことは分かっていました。それでも豊は、鹿児島茶の未来をひらくためにも自社農園が必要と決断。1998(平成10)年2月、下堂園は鹿児島県川辺町(現・南九州市川辺町)に、自社農園「ビオ・ファーム」を設立します。

テーマは、自然の楽園と人間の共生

誰もが心配する困難な船出でした。取得した畑は有機農園ではなかったため、最低3年間は有機転換期となります。案の定、1年目には害虫が大量に発生し、なすすべもなく茶園は壊滅状態になってしまいました。もちろん、まともな収穫などできる状態ではありません。
ビオ・ファームの噂を聞いて視察にやってきた農家からも、鼻で笑われる始末。こんな事で大丈夫なのか—。
それでも2年目、3年目と続けていくうちに、少しずつ明るい兆しが見え始めました。毎年害虫は発生するのですが、一定レベルを過ぎると自然といなくなったのです。これは、害虫を捕食する益虫の発生によるものです。自然の世界では、ある虫が大量発生すると、それをエサとして食べる別の虫が増え、さらにそれを食べる虫が・・・という風にバランスが保たれるようになっており、自然の生態系が作られています。つまり、ビオ・ファーム内に生態系が誕生し、循環し始めたのです。
今日、ビオ・ファームの農園内にはてんとう虫やクモをはじめ、多様な種類の虫たちが元気に飛び跳ねています。虫だけでなく、様々な鳥たちが飛び交い、モグラやアナグマなどの野生動物に遭遇することもあります。
そのような自然の楽園と人間の共生がビオ・ファームのテーマであり、このような環境を日本中に広めていくのが下堂園の使命なのです。